きのうはお誕生日でした。

3より4の方がなんか好きだな、と言うと、割り切れるからな、っと内橋さんが言った。奇数より偶数が好きだと言う。円満が好きな内橋さんらしい意見。


今日は「Pool」を抜け出し、神戸へ健康診断を受けに。どうせなら香音のカルテがあるはずの病院でヴィザ申請用に健康診断を受けようと言うのだが、これがまた思わぬ誤算。午前中しか受け付けられないし、健康診断は血液検査やらレントゲンやらで数日前から要予約、しかも結果ゲットまで日にちがかかると言う。それは誤算、なんたる誤算。結局、あちこち電話をかけまくり、三宮のとあるクリニックにて時間外だけど診てくれるとのこと。強運。「なんで病院はどこも午前だけなんや」と今更ながら自明の理に憤慨する内橋氏。しかしこのクリニックで待っている間に、「脳は午前中よく働くから大事な仕事は午前中に」という医療系記事を目にする。おお、だからお医者さんは午前しか働かんのか! と、見えない労働を想像できない感想を漏らしていた。銀行も病院も、閉めてからも忙しいのよね? でしょ? 違うの??

クリニックでなんとも素敵な先生のお世話になり、その後旧知の恩人、三宮の女性社長を訪ねる。
96年にフェスティバルを新婚夫妻で計画し始めたとき、誠意あふれる支援をしてくださった、数少ない大人だ。かけた恩は忘れる、という見事な気っぷの良さを見せてくれた社長、その後の無沙汰の非礼を意に介さず突然の訪問を喜んでくださった。生まれて間もない香音を抱いて訪問したのが最後だったと思うけど、秘書さんがいろんなことをきちんと覚えていてくれて、今更ながら彼女の有能さを再確認した。そんな名秘書さん、もうすぐ定年をお迎えになると言う。そして女社長もそれを機に引退なさるらしい。
震災と不況で事業に暗雲が立ちこめ、女社長は並々ならぬ苦労をされた。しかし苦労人特有の洞察力と懐の深さで、私たちはこれまでどれだけ励まされてきたことか。74歳に成られて、あとは棺桶が待っているだけですよ、と今更長生きへの執着すら無さそうなことをおっしゃる。達観した笑顔で、波乱な人生を振り返り「上下が激しかった分、人の三倍生きたと自慢に思う」もはや苦節にすらも愛着を表明する社長のお話に、我々グッと感動。内橋さんなんてお鼻が真っ赤になっているわよ。しかし、慌ただしい30分ほどの訪問中、結局この話が3回も4回も語られるはめに。もともと彼女を知るきっかけとなった私の父をお元気?と尋ねられたのも3回、内橋さんの職業を尋ねたのがなんと2回、移住先を確かめたのも3回と、かなり老人力をつけたられた模様だ。さすがの内橋さんも苦労話×4には苦笑していたが、考えてみれば、そもそも感動を誘う美しい説話が、老人力によって二度三度と繰り返されるとこんどは苦笑を誘うものになってしまっているではないか。そうか。そういうことか。新たな摂理を発見してしまったようだ。恐るべし、老人力


帰りはニッサンに愛車を引き取ってもらいに。懐かしい神戸の街を足早に去りつつ、ほんのりとさみしー感じも手伝いはじめた。
BRIDGEに戻り、ナンシー、稲田、梅哲、文章くん、そしてカコイくんらに催促しておいた誕生日プレゼントをもらう。さすがみんな、催促されていただけにダイソーブランド、家にあったものなどイヤイヤ乍ら感がばっちり漂うグッドチョイスだ。中でも梅ちゃんの防塵マスク、文章クンの簡易傾斜測定器(どちらも100円ショップ、ダイソー)あたりは迷惑感すら網羅しておりなかなかの選定。そんな中、カコイ君は見事に期待を裏切り高級ケーキ4種の詰め合わせを買ってきてしまう。・・・青いな!。せっかくの嫌なムードを台無しにするストレートなプレゼントの登場に一同顔をしかめている。がはははは。稲田はデコポン2個(自分のプレゼント)が2位だ! と無邪気にはしゃいでいる。しかし絶妙に美味なることには変わりないので、これぞ主役の醍醐味と、4種すべてのケーキをお箸でムシャムシャと乱れ食いさせて頂く。さんざん食い散らかしておいて、満足と自制心で残りを皆にふるまう。赤貧ミュージシャンたち、歓声と共におこぼれをエンジョイ。ごちそうさま。ありがとうね、みんな。大好きだよ。でもお笑い大将ふとしくんがすっかり忘れてなんもくれんかったのは許さないことにします。

簡単な作業を終え、せっかくなのでとカフェで飲みはじめる。内橋さんは香音と早寝をするとBRIDGE を後にした。あ、この人もなんもくれんかった! 文章くんと稲田と三人で、夜更けまで。稲田くんとゆっくり飲むのは本当に久しぶりで嬉しい。文章くんはやはり真夜中のある時間に突然スイッチがOFF になり寝てしまう。この数日、せっかく一緒に飲みはじめても、この“突然スイッチ”のせいで常に尻切れ感が強い。せっかくの3ショット飲み会であったが、まだまだ飲み足りない話し足りないと思いつつ私にも明け方、“突然スイッチ”が入り強制終了。そう、BRIDGE 二階の雑魚寝を初体験させていただきました。うひゃひゃ! かなり素敵なお誕生日でしたね。


しかし眠気か酔いのせいで「BRIDGE で寝ます」のメールを未送信のまま寝てしまった。夜中に目覚めた内橋さんは、また鍵を持たない私を閉め出してしまった! 廊下で寝させてしまった! と慌てて廊下に飛び出したらしい。
実はPoolの初日、あとから帰ってきた私の電話に内橋さんは寝入って気づかず、おかげで部屋に入れないで30分ほど、廊下で立ったまま寝たのだった。

BRIDGE お泊まりを実現した朝方、防災センターのおじさんに「きみら寝てんのか!」と起こされたが、また再度寝て、結局11時前に内橋さんと香音が出勤してくるまで寝させていただいた。優しい旦那さま、ありがとう。




■今日の香音ちゃん
エキシヴィジョンのみの本日のPool。たった今、ふたりのお客様が来られたのだけど、香音が「こっちへきて!」「ここでおくつをぬいで!」と案内している。のみならず、長いケーブルでぶら下がったスピーカーを手にとり、「おみみあらう」と耳にあてて音を楽しむ方法を教えている。客人の男の子たちはニコニコと構ってくれるがヒヤヒヤする。すると客人たちが、興が乗ってしまったのか置いてある(アンプにもつないである)内橋ギターを触って鳴らしはじめてしまった。今日のカフェ担当の中沢氏とNGだよね、と顔を見合わせ一瞬困ったが、そこで香音を使うことに。「ぱぱのギター、さわったらダメだよー」と香音が言い、大人が注意する必要はなくなった・・・。
「なにしてんのー?」なんてお客さんにやたら話しかけたり、どうも反則が目に余るときも多々ですが、ちょっとは役に立つこともあるということで、どうぞお許しください。