出発です。 〜 ウィーン初日

香音と内橋さんから少し遅れてSkist亭に向かう。
途中、梅ちゃんに電話。
梅ちゃんとは、なぜかいつも電話でかなりのーんびりと話ができる。
電話なのに、話が途切れても不安にならない。
今日も、梅ちゃんはまるで電話がかかってくるのをわかってたかのように受けてくれた。
きのうのこと、今日のこと、こんどのこと、色んなことをさわさわっと話し、笑う。
Pool 期間中のことを、あらためて、ありがとう、楽しかったし、嬉しかった、と言うと、さらりと「うん、楽しかったよね また東京ハイツにおいでよ」と言う。
 ありがとう を、いやいや、とか照れてかわされると、アリガトウに込めた感謝が宙に浮いてそのままどっかへ流れちゃいそうでさみしい。こうして「うん」と受けられると、やけに嬉しい。
それに、観せてくれた作品、短編『ウンケ』の感想を改めて言えたのもすっきり。ちゃんと伝わったかな?


Skistんちでは、思ったより私のテンションが上がらなかったなあ。
持参した我が家のとっておきワインを4人でたのしむ。サムとはるなと、こうしていくつの夜を過ごしたろうね。
いつも通りにふたりのコラボ料理に舌鼓をうち、いろんな話しをたのしむ。香音とioはとてもよく遊んでいた。ふたりはほんとに仲が良い。ふたりがこれからも時どき話せるようにと、i chat のセッティングをはじめる。しかし不具合がある様で、結局コンプリートできなかった。
別れ際、いつもより5秒ほど長いハグを。その、5秒の強さにめまいがした。


しかしこんな、情感こもったハグを、このひと月どれだけもらってきたことか。
「俺は日本人やからせんぞ」と逃げながらも結局観念してくれた江崎さんみたいな方も居つつ、日本人だけどあえて試みてくれる気合いの入ったハグ。ハグが下手な国民だからこそ、特別な情感をこめることができたんだろうか。
いっぱいの、ひとつひとつの、あったかいハグが、大事なプレゼントになって、今もココロをあっためてくれてます。ありがとう、ぜんぶのハグ。


香音と内橋さんが先に帰って、コインランドリーに仕上がった洗濯物を取りに行く。
洗濯物をたたみながら、帰り道に文章くんに電話しようと思う。
コール2発、張り切って出てくれた文章くん。
頼んでいた小包を昨日発送してくれており、てっきりその到着を告げる電話だと思ったらしい・・・が。
それ、今日は届きませんでした・・・残念!
へぇぇええっっ!(というのは内橋さんのマネらしいけど、わたし的にはもはや文章くんやふとしくんの得意技に思えてまりません。内橋さんの、とんでもない種のうっかり癖を、こうして笑って冗談にしている彼等のおおらかさを感じますね。)
洗濯し終えたシーツ類を抱えて、仕事場のビルの螺旋階段にすわりこんで長話。
ここ数日大忙しと見受けられた彼でしたが、やっとゆっくり話せた感じ。よかった。
大阪にいる時から、文章くんは「うん、また会えるよ 会えると思うから」とよく、かみしめて繰り返してくれた。おまじないのように。気の効いたことを言わない風の人がこういうこと言うと、効くんだよねー。ずるいなあ。



ちょっとした満足感で仕事場に戻ると、なんと父子はすでに寝ているではないか。
朝早いからね。
ウィーンに行ったら、しばらくなかなか接続もできなくなるよね、と思いつつあちこちに書き留めたりしていると、
UAから電話。やっとゆっくり、たっぷりと話す。
日付をまたいで、素直なところを話していると、いつの間にか出国のココロの準備が、できていることに気づいた。へえ。不思議なもんだね。



ありがとう、ありがとう。
感謝の気持ち、いっぱいです。


みんなのお陰で、明日ちゃんと、出発できそうです。


ありがとう。

いってきます。







  ここからウィーンの4月1日。


ほんの数時間だけ仮眠して、2005年4月1日の金曜の朝はつとめて早くからはじまった。
起こしてくれたのは内橋さん。眠くて不機嫌なままシャワーを浴びて荷物をまとめる。日暮里から成田は座席が取れる電車で一本。快適にすっ飛ばしつつ携帯メールが送れる人々にご挨拶。空港へ着いたら、早々にチェックインを済ませて郵便局へ。どうしても、Uaの新譜を稲田と文章に送っておきたかったのだ。稲田に電話すると、残念ながら彼は留守でみッちゃんと話す。郵便発送を終え、それを告げに文章に電話するも彼も出ず、あきらめこんどはふとしに電話。会社が見つからなくって上の空のふとしと少し話して、間もなくほんとに出発。

飛行機の中で、香音はおおむね楽しげにしていた。全フライトのうち3回ほどだけむずかっていたか。
二度ほど眠ることもあり、昨夏よりも成長を感じる。昨夏のイタリア行きフライトでは一睡もできなかったのです。

到着後、ヘルゲが迎えに。案内されたのはエリザベトと言うパーカッション奏者のお宅。ここに9日までお世話になります。ちなみにこちらはナロウバンド、メールチェックが精一杯のネット環境であるため、はてなmixi は友人宅にてほんの時どき、となりそうです。
当家の8歳の娘、アダちゃんとそのお友達ラウラちゃんがメチャかわいい。はじめこそ、香音とどう接していいのか解らない、と言う感じだったけど、そのうち勝手に打ち解けて、果てには顔にペイントしてもらったり、公園に連れ出されて走り回ったり遊具に乗せたり、かなり強引にリードされていた模様。途中から参加した近所のお友達たちもかなりランボウ者系で、付いていた内橋さんはかなり焦ったらしいが、ビビリながらも嬉しさが勝って結局いちども香音はイヤと言わなかったらしい。どうやらこっちの子は一見シャイで引き気味に見えるけど、一旦心を開いたらかなり過激になる模様。
内橋さんがすっかり暗くなった公園で過激に遊んでもらう我が子の心配をしてる間に、私はシルヴィアに電話。

夜はヘルゲ、マルティナと共にガストハウスへ。
このふたりとはほんとうに付き合いが長く深いので、久しぶりに会う親戚、という感じすらするのだけれど、今回はもはや我々は彼等のゲストではない。この事実と、これからのことがまるで何も安定していない、ということとでかなり緊張感が消えない私は、旅の疲れも手伝ってまだまだかなりナーヴァスに。説明しようとしたけどあまり自信も無く、何よりふたりならある程度は鋭く察してくれるからと思って、途中でやめた。
来週はヘルゲがちょっとしたレセプションを計画してくれている。ウィーンのアートスペースで、音楽関係者などを集めてCDレコ発と内橋の紹介をしてくれると言う作戦だ。エリザベスんちの下宿と言い、何から何までよくしてくれてほんとうに大感謝。心強い分、自分たちでできることは頑張らないといけない。
・・・と、気合いが入ってやはりまた緊張感がみなぎってくるから眠れない・・・。