旧友再会、新友往来。

こっちの時間で12時にはすっかり眠くなった、ものの何度も眼が覚めてしまって、今朝も微妙に早くから目が冴え冴え。しかし気分のイイことに部屋におるところへ当家の美少女アダちゃんが覗きに来てくれた。グーテンモルゲン。ばっちりな気分でエリザベトの誘いに乗り、朝から買い物に。ここはウィーンのほぼ中心、シュテファノプラッツからたった一駅で、しかも住まいの建物の前にはオープンマーケーットが出ていてとても便利。徒歩45秒で有機野菜やらフレッシュチーズ、パン、ハムなどが買えるのよ、凄いよ、ここ。買いたての食材で長〜い朝食をみんなで頂く。今朝の香音は食欲不振であったけど、そのかわり朝からアダちゃんにあれよこれよと構ってもらい、超シアワセである。もうすっかり私や内橋さんになついてくれたこの美少女、香音や私と遊ぶ時は「ん〜ん!、ん??」なんて百面相の表情だけを使って、言葉無しにコミュニケーションしてくれる。時どき「イッヒビンキンダ」などとワンポイントレッスンを挟んでくれたり。香音は「お姉ちゃん」なんて呼んでる。時に少女らしくトロリとあまえてくれたりするんだけど、私すらドキッとするほどの美しさ。内橋さんにも何のてらいもなくあまえたり飛びついたりしてるけど、彼は触法しないかと内心ドキドキしている模様。すごいです。「ナルヨシだったら耐えられない…」、と何度も真顔でつぶやいておりました。
エリザベスさんは静かな人だけどおおらかさがあって、とても素敵だ。いつもは飲まない珈琲を「今朝は特別に」なんて付き合ってくれる。「子どもたちは仲良く楽しく遊んでいるけど、私たちは食べ終われないッ・・・」と、いつまでも今朝買ったパンやラディッシュを齧り続ける。
昨夜約束した通り、シルヴィアにまた電話。そのはからいでしばらくあとにエックハルトから電話。シュタイナーシューレに道を拓いた重要な協力者だ。ほどなくしてエックハルトがやって来る。今朝買った新聞をもとに、早速住まい探しに出掛けることに。

今日見たのは二カ所。ひとつめはシューレのあるマウアーからまだ街のセンターに近い立地の、月280ユーロほどの小さいアパート、一階。しかしここは台湾ですかと言いたくなるムード。狭い、汚い、安っぽい。しかし私たちにとって贅沢は大敵であり、ギリギリの生活からスタートするべきであると、ずっと腹を括ってきたので「仕方ないかなあ」とすら思う。しかし、内橋さんの「うーん、江崎んとこみたいやなあ」の一言に我を取り戻す。いや、日本的に言うなら2DK、56平米もあるんだけどね。
気を取り直して2件目。こちらはマウアーで学校まで歩ける距離だ。
しかしマウアーという地域が比較的高級な住宅地であるため、お値段もぐんと上がり  ユーロ。物件自体、80年代に作られた新興集合住宅である。内橋さんとは「なんだか六甲みたいだね」と共感。東京だったらうーん、白金とか? それとも世田谷?。あざみ野界隈ほど新しくはないけど、ウィーンらしい古めかしさには欠ける。
物件の改装をしていたおじさん(大家さんらしい)に大雑把な英語で2、3質問される。案内してくれている奥様共々とても感じがイイ。子どもをオーストリアで育てたい、この近くにいい学校を見つけたのでそこに入れたい、って言うと、「おお、ヴァルドルフシューレといういいトコロがあるぞ」とおっしゃる。これまでウィーンで友達も含め何人かの人とシューレや人智学の話をしたけれど、いつもこんな具合に好感触だ。“市民権を得る”とはこういうことか。日本の関係者の皆さんも、これくらい理解されていたらもっとリラクスできたでしょうに。

この二件を見たところで今日はおしまい。ついでにシューレのあるマウアー地区の中心まで行ってみる。土曜なのでしまってたけど、シューレの外観を拝むことに成功。御利益御利益。思った通り、素敵な様子である。幾つかある出入り口のひとつに、改装されたところが外からでも見えた。扉の作り、エンテランスの壁の塗り上げなど、一見してシュタイナーワールド炸裂である。しかし古い建物にはんなりと馴染んでいたりして、突飛なムードがまるで無い。いいなあ。幼稚園には週明け早々にコンタクトをとる。3つある幼稚園に空きがあればすぐにでもお試し保育がはじまると思われる。早く正式許可されたいものです。

明日は日曜で物件ウォッチはできないのだけど、今日は土曜の割には動けたと言えるのかもしれない。
そして訪れたエックハルト&由香さんの住まいは、古い物件を自力で丁寧に改装した、家庭的で住み心地の良さそうなところだった。エックハルトの日本語は抜群で、由香さんは長くこちらで日本語教師をしている。由香さんはちょっと徹子入ってる、ってくらいしゃべるのが早いんだけど、エッケはちゃんと理解している模様。私でさえ聴き疲れしちゃうことしばしばなのに・・・(苦笑)。
そんなふたりだからもちろん蔵書の量はすさまじく、高い天井に向かって書棚がそびえるようにそこにある。その隙間を埋めるように白桃房や灰野敬二のレアものポスターが飾ってあり、誰の家なんだここは? 感に溢れていて楽しい。こんな風に、ほどよく住まいが“巣まい”なんて雰囲気を醸し出していてとても快適だ。しかしこれだけのものが日本の3DKに詰め込まれたら、きっととんでもないことになる。

ビアレク、とでも書けばいいのか、ニラ科の早春の野草がある。エッケの実家周辺から採って帰られたものを使ってパスタを供してくださった。当家の子どもたち、タケミ&イクミはお好きではないようだけど、香音は普段からニンニクやらニラやらその他香草薬草、たいていは嫌がらず喜んで食べる口なのでお代わりすら頂く。
食事の少し前からシルヴィアが花束を抱えて登場。相変わらず耳にはヘヴィでハードなピアスがぶらさがっていて、耳たぶがびろぉんと引っ張られ垂れているのに見惚れる。相変わらずアナーキーなおばちゃんである。美しい。電話では男の人かと焦るほど低い声の彼女を、イクミくんは日本語で「おばちゃーん」と呼んでいた。
シルヴィアとの再会も格別なものであった。

9時を迎えたところで子どもたちは終了、と相成り我々も退散。エリザベトの住まいは目と鼻の先、気軽に歩いて帰れるところだから帰宅はラクチン。でもマウアーに住んじゃうと、こういうのができないね・・・。
到着早々住まい探しに取りかかれたのはなかなかの滑り出しなんだけど、やっぱりやっぱり、大変です。