久々にライブの話で。

kaekae2006-02-16

昨日は久々に、ウッチーがウィーンでライブでした。
しかもこのライブはあの、K.K.Null さんと。前夜、到着したところのK.K.氏と奥さまをお迎えして遅くまで飲み喋りふけってしまいました。K.K.さんはスキンヘッドでガッチリ体格で、離れて見たらどう見てもイカツイ親爺さんなんだけど、電話で話すと繊細さが前面に押し出され、飲みはじめたら人のいいオトコマエになるから面白い。こんな人が、毎朝早起きしてチワワの散歩を担当してるなんて、想像するだけで吹き出してしまう。ついでに言うと、イカツイ顔貌できらりと光る、つぶらな瞳はチワワ譲りだ。彼が日本を代表する、ノイズギターマスター。


近くに越してきてさらにお互い便利になった邦人留学生くんにお留守番に来てもらい、わたしもライブに駆けつける。イェー。
おチビは最近7時過ぎには寝る準備に入り、8時半頃には眠りはじめるので寝静まってから学生君にお留守番に来て頂けばいい。こちらのライブは店によっては10時スタートということもあるので間に合う。お留守番くんは勉強道具を一式お持ちで、私が出かけるときも帰ってきたときも同じ体勢で学んでおられた。素晴らしい。


さてライブ。
会場はいわゆる高架下のクラブでガラス張りになっており、開放感がある。ここにはじめて来た時は前の前のワールドカップの真っ最中で、あらゆるパブやカフェは人が溢れTVに見入っているのを見かけたけれど、ここの店だけは「anti fusball」アンチ・フットボールのピンバッチを無料配布しているような店だった。
私が到着した9時過ぎはまだ人出もまばらで、どっきり。こんなにここが空いてるのって、見たことないわ!とひとり焦ったものの、考えてみたら水曜の夜のライブで開始時間も遅いんだからまだこれからだ、とちょっと気を取り直す。そうこうしてるうちにワヤワヤと人が集まり、シルヴィアが到着しディータがやって来る。おお、結構人集まったねーとニヤついてるとウッチーは「KKは人気者なのだ」と平常心。そうだった。

DJタイムが終わる頃には結構な集客になっている。見知った顔の中に散髪してさっぱりしたヘルゲとマルティナ、そして「愛と人生を謳歌する主義」学派主幹、フランツ師匠までもがやって来た。ヘルゲとフランツはComfort of Maddness の最期を共にした、ウッチーの盟友たちである。マルティナは去年から栄養士の学校に通いはじめていてめちゃくちゃ忙しい。ヘルゲは何度かうちに立ち寄ってるけれどいつも物凄く忙しそう。フランツの多忙も同様。んな中駆けつけてくれたのは何とも有難い。ウィーンに来るようになってからもうすぐ10年。その最初っからのつき合いだけど、実は内橋さんだけが出演してそれを彼等が観に来る、というのははじめてなのであった。しかも、ワンセット(30分)ソロを演奏するのは、ウィーンでははじめてだったのだ、意外と。


演奏の方をどうこう説明するのは本当に苦手なので申し訳ないが、初っ端の内橋ソロ、床座り込み〜立ち見まで入ったオーディエンスととってもイイ感じだった。欧州人は酒が飲めるような会場ではいつも、結構演奏中でもおしゃべりするし、落ち着きがない。が、そこそこ音量のある(しゃべりたい人にはしゃべりやすい)演奏だったんだけど、観客が隅から隅ませ集中して聴いているのがよくわかった。演奏におかまいなくしゃべりだす人はなかった。お客さんが、いい顔して見入ってる。こりゃやりやすいだろうよ。あっという間の30分、終了時には拍手と口笛ピーピー、ヒャッフウッ!に続いてお姉ちゃんが雄叫んだ。「Rocken'roll !!!!!」バリバリのアヴァンギャルドに、ロッケンロー!(笑)、最高のほめ言葉ですね。
続いてK.K.Null ソロ!
うっひゃひゃー、カッコよかった!!! 今回はカオスパッドやらエレクトロニクスのみ。
ゴリゴリのノイズギターが聴けないのかぁ、と実は残念だったんだけど、いやいやなんのこっちゃない、K.K. は何やってもK.K. でした。終盤、コンタクトマイクを仕込んだマウスみたいなモノでゴゴゴゴゴーッ轟音を響かせたかと思ったら、やおら立ち上がりそいつを口元に「ガオーッッ!!!」痺れました。
途中、酔った主催者のツレらしき女が立ち上がって、シルヴィアに何か話しかけてきた。音楽に酔いしれて興奮してるんだろうけどもやはり目障り。すると、さきほどのロケンロー姉ちゃんが注意した。続いて勢いづいたのかシルヴィアの傍らの呑んだくれおじちゃんも注意しようとするが、すっかり酔ってて動きが鈍く足許の自分のグラスを蹴っ飛ばす。ガチャリーン、周囲は失笑。おしゃべり女のスエードのブーツにビールがかかって、女はプンスカしながら席に戻った。
内橋ソロ、KKソロと続き、最後にふたりでワンセット。
客席に向かってふたり並んで、黙々と音作作業をする感じ。勤勉なアヴァンギャルドミュージシャン親爺ふたりの居並ぶ構図はなかなか壮観でした。終電前には終わろう、という約束がなかったら、このふたりは延々続けてたんじゃないかと思うほど、なんとも安定感のある時にノイズ、時に微音、時にメロディックでやっぱり轟音w、という、たっぷり濃密なラスト・セットでした。
終演はもちろん惜しみない拍手を受けつつ、CDもちょっとだけ売れて、そしてお客さんたちが夜更けまで楽し気に飲んでるすこやかさ。帰るギリギリまで和やかにおしゃべりしてる今宵のふたりのギタリストに、訊くまでもない充実感を感じた夜でした。


そんなふたりが土曜はシルヴィア宅で、リビングルームコンサート。
ちょっとサラダでも作って持ってきます。
時間も早いし、徒歩圏だし、香音も連れてくのですがきっと、いやぁ喜ぶことでしょう・・・。