ぜんぜんうれしくない初雪でした。

なんかもう、寒すぎてうっとおしくって、何の感慨もわき起こらない初雪でした。
じとじと降ってるもんだから、見る間に積もる醍醐味もないし、もう湿って湿って寒くて寒くて・・・。せっかくすっきりしかけてた香音の風邪もやっぱり悪化。しつこい鼻水と咳、それからきっと痰が絡んでるのね、時々オエッてなってる。かわいそうに。
朝から内橋さんはUAのリハ。年明け早々スマシュの新潟救済イヴェントがあると言う。そのあとは今年最後の仕事納めとなるライブ。荻窪で、林栄一さんとアキラくんと古沢さんも、来るんだとか。楽しそうですね。お客さん、来てると良いなあ・・・。


お留守の間にフライングしてブッシュ関連のDVDを観てしまう。
華氏911』ではない。ブッシュの告発本の顛末を追ったドキュメントである。
 『FORTUNATE SUN』という、ブッシュの伝記が出ていたらしい。初回の大統領選挙前後の模様。B級ライターが、アメリカでは掃くほど転がってる政治家の伝記モノを書くはずが、このライターが人生の勝負をかけたこの作品で、思いもよらぬ大物を釣り上げてしまうのだ。そう、後の米国史上最高の愛憎にまみれた合衆国大統領ブッシュくん。どうやらこのライターが、誰よりも最初にブッシュの“覚せい剤使用の逮捕歴”をすっぱ抜いちゃったのである。しかもこのライター、どこぞの敏腕政治記者、とかならよかったのかもしれないけれど、これまでスタートレックの艦長の役者の伝記とか、B級SFとかを書いていた人で、こんなスキャンダラスで政治的影響も大きな題材を、かなりの甘い切り口でまとめあげちゃったからタチが悪い。しかもこのライターには殺人(未遂)の前科まであったからもう大変。とんでもない告発をした人のとんでもない過去をめぐり、共和党や政府がこのB級ライター相手に必死の攻防で彼の人生を狂わせて行くのね。
最初の出版社があっという間に怖じ気づいて出版後すぐ回収しちゃったもんだから、超弱小インディーズ出版社がすぐ動き出すもののこっちもヨワヨワ。ライターも、出版人も、どんどん人生の歯車を狂わされてゆく。ハリウッドが映画にしてたらきっと、巨大権力の陰謀をぐっつり描くところだろうけど、この映画の目線で観てると、長いものに巻かれるマスコミや大衆、弱者の声を軽視する人間のずるさといった見えない巨大なコワイモノに追いつめらてゆくのがよくわかる。アルコール依存と鬱と不眠で再起不能になったライターは、結局安ホテルで薬のまとめ飲みをして自殺する。映画は泣き伏す出版人の姿で終わる。

このドキュメント完成以降、ブッシュは薬物経験も逮捕歴も認めて、むしろその反省と克服のために傾倒した厳格派キリスト教への歩みが、その後の彼を支えていると言われる。ある意味、スキャンダルを上手に利用してイメージアップにすらつなげちゃった。それに彼の政権が世界中を巻き込んだテロ戦争を引き起こし、アメリカをまっぷたつに引き裂いてしまった現在。これに比べたら、B級ライターの引っ掻き傷なんて、ほんと大したことなかった。なんだか、ほんとに悲しい小さな物語だったなあ・・・。





■訃報
スーザン・ソンタグ。ショック。72歳でガン。きっと、今年の大統領選挙の結果が病状に悪く響いたに違いない。もっと長生きして、書き続けて欲しかった。いくつか著作を読んで、ちょっと難しいから頓挫してたけど、絶対読み直そうと決意する。少しずつでも、ソンタグの書いたもの全部読むぞ!