河口湖へ出発!

■朝

微妙な胃具合を気にしつつ野菜と餅の雑煮を作り、腹ごしらえをしたら一路、河口湖へ、うそ、まずは相模大野。

■45Rpm バーゲン

生まれてはじめての、百貨店のバーゲン初日襲撃。車も人もあふれていてビックリ。正月早々物欲を満たすことに後ろめたさを覚えていたけれど、そんな感覚の欠片もなさそうな人の群れを目の当たりにしてしまった。伊勢丹から出て来る人々は皆、手に様々な袋をぶら下げている。どうやら全館あげて相当お得なお買い物ができるらしいが、私の目的はただ一カ所。どれだけ他所の店や階も凄い大売り出し中だとしても、知らなかったものとしてスルー。
しかし目的店舗の人出は午後になっていたからかそれほど怖れるほどではなかった。カソリックの僧侶風とお乞食さん風のちょうど間みたいなコートを定価の半額でゲット。ほかのワゴンセール状態になったものは欲しくなったらキリがない、という感じでもあったけど、他人が荒らした売り物を物色するエネルギーもわかなかった。ちなみに交代で偵察した内橋さんはバイタリティが有るのだろうか、三点もとっておきを見つけて購入、満足して出てきた。親知らずが一瞬ナリを潜めたようだった。


物欲を爽やかに満たした両親と僧侶のごとき禁欲娘、いざ河口湖へ




■人魚と言う名のミニホテル

この日記をロムってる方で、観光地のホテルを評価できるサイトなど、ご存知の方が有れば教えて頂きたい。

今回我々は、内橋さんがネットで見つけたあるミニホテルに二泊分の予約を入れた。
「人魚」を英語カタカナ5文字で表記した名前を冠している。河口湖湖畔で、きゃわいい外観&内装の、いかにも河口湖なホテルであった。
しかし、ここのサービス、オーナーの横暴ぶりが酷かった。最悪。ダメダメ。カス。まず、建物に到着して入っていきなり、すでに寒かった。外も雪だし。正月だし。案内された客室は「別館」なのだが、本館との建物の連結部分がまたびゅるっと寒い。それは仕方ないにしても、なんだか廊下やサロンも薄ら寒いのが気になる。キラキラと派手にしてるから余計、気になる。客室はエアコンがガンガンついていてまぁマシだけど。
出発が遅れたので、到着が遅れるかもと電話したら、指定時間に来ないと用意できない、遅れそうなら電話せよと、結構強気に指示されていたものの、到着してみると「今夜の食事は30分遅れます」。なら電話してくれたら良かったのに、とこの時点では冗談も言えた。
このあたりでは一泊二食付きが定番となっているようだ。それと温泉。河口湖湖畔で「素泊まり」の看板を見るには見たが、それが目立つほど。さてではお食事は・・・とダイニングに行くと、またこれがスースー寒い。香音なんか鼻がたれて来た。あんまり寒いので内橋さんがホテルの人に尋ねると「エアコンはめいっぱいついてますから」う〜ん、だから我慢しろというのか。見回せば、飲み物のメニューらしきものを受け取る人とそうでない人が有る。我々には届かないので飲み物の種類について尋ねると「グラスワインが一杯ずつサービスでつきます」という。その「サービス」が出た後、やっぱりメニューが来ないので再度尋ねると、「ソフトドリンクが欲しいんですか」とか、質問に質問を返す、人を苛立たせるおばさん。無意味なQ&Qを繰り返し、もうすっかりお料理に飲み物を…の気分もそがれまくってしまった。
そして料理。・・・スープが異様に冷たい。この季節に冷製スープを出す意気込みなどでは決してなく、真っ向から「ぬるい」のである。
また、「お子さまは乳製品抜きですよね」と確認してきてくれたにもかかわらず、どうみても普通のポタージュや普通の料理が続く。しかも「お子さまには軽食をご用意」とか言いながら、香音も、他所の席のちびっ子達も、結局全員大人のと同じのを出されていた。?である。挙げ句の果てには「ペペロンチーノとフレッシュチーズ」なるものまで、子ども達にも出される。リコッタかカッテージかなんか知らんが、どっさり大さじ3杯分ほどのチーズが皿に。子どもにペペロンチーノを出す神経も不服だけど、このチーズ・・・。香音は重症アレルギーではないので発作などは出ないから良いものの、配慮するふりして結局は野放しか。
そしてこのペペロンチーノ、アルデンテというには慌てん坊が茹で上げちゃいました、というほどのゴリゴリ。
結局、メインの肉料理まで「ぬるめ」。家族連れ・カップル含めた十組もの料理をどうやらオーナー兼シェフがひとりで取り仕切っているようだったが、おそらく出来上がりの料理を配膳まで保温するライトとかも無いようだし、それ以前に皿を温めてる気配もない。もうデザートの頃には指先も冷え冷え、くしゃみまで出る始末なので、慌ててお部屋へ逃げ帰ることに。食後の飲み物を楽しむムードも無かったしね。


そしてここからがもう、えらいことに。
この「人魚」。24時間ご利用可の温泉が売りのひとつ。夕食前に入れなかったから(入ってたら風邪ひいていたね、あそこじゃ)食後ただちに行こうぜと張り切って三人は風呂へ向かった。中規模の浴場がふたつあり、片方が「露天」だという。宿泊組数の加減で決められるのか、この日は男湯/女湯で分けず「家族風呂」とか言って貸し切りで入れるようになっている。先に(張り切って)のぞいた内橋さんが「露天風呂、寒すぎ!」と震え上がっている。しかも「露天って、湯船の横の大きい窓のガラスが一枚無いねん、露天って、それだけやねん」と、よくわからんことをよくわからなさそうに言いに来た。よくわからんので見に行くと、・・・ほんとにその通りだった。そのせいかめちゃ寒い。よって、ガラスが一枚有るか無いかだけで、ほかは同じの反対の風呂に入ることにした。こっちの脱衣場もまた寒い。すでに館内ほとんどが薄ら寒かったので、「風呂にさえ入ったら」の思いでさっさとすっぽんぽんになって風呂に直撃!・・・しかし、ここすらまたもや「ぬるい」!その温度、体感37.5℃ほどか。呆然である。しかし「追い炊き」のボタンがあるワケでもなく、呆然としてしまった。
内橋さんが怒り心頭で慌てて服を着て文句を言いに。結局、最終的にお風呂が暖まって無事出られるまで2時間はかかってしまった。香音も私も、ふにゃふにゃにふにゃけながら湯船の中で待っているしかなかったのだ。
なんとか風呂を上がっても、オーナー兼シェフ兼ボイラーマンのおっさんは苦笑しながらなんだかえらくへらへら謝るだけ。ボイラーが不調だったとか、いつも通り作業はしてるとか、話せば話すほど無責任な弁解。ことの重大さを認識していない。内橋さんは「怒る」のが救いようもなく下手なので、言えば言うほど愚痴や不平にしか聞こえないし、相手は他人事みたいな顔でこっちの気が治まるどころか余計苛立つことをだらだら言い続ける。せっかく内橋さんが手配した旅行だし、旅は始まったばかりだし、と我慢していたつもりだけれど、このおふたりのやり取りを聞いていてもう堪忍袋の緒が切れて、わたくし大噴火。ようしゃなく怒ってしまった。しかし理解力が全く無いおっさん相手に疲れるのもなんなので、香音がみゃーっと言ったところで帰ってもらう。
「何じゃこのホテル?」年明け早々の喜劇に絶句。
あのおっさんのまずい料理とひどい接客にもう一泊付き合うなんて考えられない、ということで、そんな時間からよそのホテルを探すことにした。内橋さんは「ここ以外どこも絶対満室!」となぜか言い切る。ここで我慢するしか無いというように。しかしそんなはずは無い。最悪、帰るなり京都や大阪へ行くなり、時の過ごし方はいくらでもある訳で、こんなところにはおれん!と私がすぐさま電話で宿を探すことにした。
結果、あっけなく宿は見つかった。しかもすぐそこに。
ようし、明日の朝はさっさと脱出!とスッキリした気分で就寝。
しかしなんだか全然眠れない。暖をとるために飲んだ緑茶が多すぎたか。
うつらうつら、ふにゃらふにゃらしながら夜中の3時半、突然けたたましく非常ベルが!
どないした?!?!?!内橋さんが慌てて服を着て廊下へ出る。
(慌てて、と言っても、私がゆすって起こさないと目を覚まさなかった。非常ベルが鳴っても。)
かなり長い間鳴っていて、またオーナー兼シェフ兼ボイラーマン兼夜間管理人のおっさんは原因が分からないとウロウロしているらしい。そして「なんらかのものに反応して鳴ってしまったみたいだが大丈夫です」との説明。しかしこの説明を誰が信じられようか。内心、風呂のボイラーを全開にしたまま忘れてる、とかじゃないか?とか、どうも心配になる。いちど崩れた信頼関係はかようにはかない。オーナー兼シェフ兼ボイラーマン兼夜間管理人のおっさんの「だいじょうぶ」すら信じられず、そうなると一晩寝るのも勇気がいる。もっとも、隣で娘と同じ顔をして寝てる我が家の主もそこはかとなく頼りないのでなおさらである。

なんと結局サイレンは断続的に15回も鳴り続けた。1時間に渡って。ちゃんと解除ができないんだろう、親爺め! ほんと、失格ですよ!


こんなわけで、正月のご旅行第一日目がかように惨憺たる幕明けとなった。
明日はこの一泊についている朝食を拒否してチェックアウトギリギリまで寝よう。
(だって非常ベルで夜中眠れなかったしね)
そしてさっさとここを出て、もっと素敵な一日が明日、待っているのだ!