河口湖リベンジ

■マクロビオテック

お正月プランが満員で取れなかったので、この日のランチだけ予約しておいたのがこのマクロビオテックの宿「アルカンシェール」。うふふ、ラルクアンシェルってバンドとダブるから冠詞を取ったのね、とは内橋さんの推理。

マクロは実践する気はないけど参考にはしている我々。こういう利用は大歓迎で、三人は大喜びで乗り込んだ。ほんとは二食付きの宿に泊まっているはずだったので、きっと朝ご飯はたっぷり食べてるだろうし、お昼を遅めにと1時から予約していた。しかし昨日が昨日で、朝飯も無視して出てきたものだから腹が減る。でもせっかくのお昼が待ってるんだからと、河口湖名物ほうとうの誘惑も振りほどき、お茶だけ飲みに行って我慢した。


かわいいカフェで「ストロベリークリームティ」なるものをチャレンジ。
暖かいお紅茶にたっぷりのホイップクリームがのっかり、そこにイチゴがあしらわれた写真に賭けてみた。香音にフレッシュイチゴジュースを半分ほどで十分なので、小さいサイズで出してもらえませんか?と聞いてみたがあえなく却下されてしまった。「どうぞ残して下さい」って言うの!そりゃないぜベイビー。「それはイヤなので、ではいいです」とあきらめた。
なんだか大忙しのカフェで、サラリーマン風のおじさんふたりとしっかりもののおばさんふたりがフル回転で働いておられる。めちゃ忙しそう、というか、リーマンふたりがめちゃテンパっている。おかわいそうに。飲食店労働の経験が今も生々しい私はこういう場面ではうずうず、手伝いたくなってしまうから危険。湧き出る労働意欲をグッとこらえていると、リーマンのおちゃめなサービスが届いた。「サービスです」って、フレッシュイチゴジュースを小さいグラスに持って来てくれたのだ。感激。イチゴと氷だけで作ったと思われるすっきりした美味なる薄味ジュース。って、子どもに下さったのを横取りした訳ですが。
しかし私と内橋さんに届いたストロベリークリームティ。これはちょっとヒドかった。ホイップがすでに溶け分離しはじめ、乳層にイチゴが浮かんでるだけ。お茶自体も冷めてしまい、分解されたクリームの油が食指をそぐ。どうやら忙しさのあまり、出来上がってテーブルに届くまでしばらく放置されていた模様。残念。
しかしここで思わぬ「人魚」効果が起こる。そう、昨日尋常ならぬ冷遇と憤怒を経験した我々は、もはやこんなことではムカつかなくなっていたのだ。忙しい中、子どものためにサービスでジュースを届けてくれる心意気に救われたのである。ま、ささやかな抗議ということでふたりとも紅茶を半分ほど残して席を立ってしまったが、リーマンは気づくことなく慌てて片付けたのかな。混んでたから。


そうして迎えたマクロランチ。いやあ、美味しかった!材料の良さ、味付けの良さはもちろん、懐石料理と言える手のかかりよう、美しさ。大感激である。思わず「冷蔵庫にあるもの全部出してくれ!」との思いをこめて何でも言いから追加を頼む。変な客。お見事!ここはマクロビオテックの料理を出しつつ、アロマテラピーもできる保養宿泊施設。断食合宿なんかもやってる。こぎれいで日当たりがめっちゃ良いのでもの凄い暖かさ。食後もホールで物販を眺めたり香音はソファで絵本に講じたり、しばし暖かな時を過ごした。あんまりの満足ぶりに明日のお昼、お弁当をお願いしてアルカンシェールを出た。今宵の御宿はこのアルカンシェールに昨夜で電話して教えてもらったところである。今宵の御宿は「May Queen」。じゃがいも、というより五月の女王様である。人魚よりは出世したかな?




■そして 五月の女王様

こっちはもう、良かった・・・。同じく家族で貸し切りできた浴場は富士山が真正面!ここでは「お湯があたたまらないから」ではなく「居心地が良いから」長湯をしたよ。お庭には手作りのブランコがあって、“富士山に向かってブランコを漕ぐ”という初体験ができた。雪もちょっと残っていたから、香音は「ゆきだ!ゆきだ!」と大喜びして歩いていた。美しい写真も撮れた。ここの「本館」はまさしくヨーロッパ、アルプスのプチホテル風である。ま、節々ツメの甘さは有りますが。別館はもうちょっと大きくて、保養施設を改築したらしい。それでも田舎の観光地の悪趣味さは極力抑えられていて落ち着く。広い和室が有るので、家族ものは別館に割り振られるようだ。しかし「次回からは本館でも別館でも予約時に言って下さい」とのこと。こちらの労働者諸君はみな、「なんかええサービスしたろ」というやる気がうずうずしてるように伺える。ちょっとした質問にも一生懸命情報を付加して答えてくれる。まあ都会者にはちょっとウザいことも有るかもしれないが、ここでも私達には人魚効果。質問に質問で返す、こちらの気をそぐ人魚達に傷ついた心は、五月の女王の過熱気味のホスピタリティに癒されることに。
今夜の料理は、「きのうの件が有ったからよっぽどのことが無い限り我慢できる」と思っていたが、そのせいか異様に美味しく感じてしまった。お昼にあの素晴らしい健康料理を食したにもかかわらず、である。香音も、私のをガンガン横取りするほど喜んで食べていたし、しかも食事の飲み物に「冷蔵庫で冷やしてない赤ワインは有りますか」と聞いたら、地場ワインを二本も栓を抜いて持って来て、試飲までさせてくれた。なぜかシェリーグラスになみなみと注いでくれたのには、ほのぼのと苦笑してしまったが。

それから食事時にはテレビモニターで様々な富士山の映像を流していた。生を見に来ていたんだから、ちょっとこれも我々には苦笑であったが、それでも香音は喜んでいた。自動演奏のピアノが鳴っていたが、それと混同して「ふじさんがピアノうたってる」とか言ってた。それからこのホテルの過熱サービスフィーバーが窺える設備として、ダイニングの傍にある子ども用プレイルームの監視用モニターが飲食をしながら見られるようになっていた。無粋では有るものの、子連れには有難いかな。
香音はそこへ行くのを楽しみにしつつ、食事も楽しんでいた。そして、今回我々は子ども用に料理をオーダーせず、私のを香音に山分けしていたにもかかわらず、香音に小さなロールケーキとシャーベットのデザートをサービスしてくれた。こういう、「歓迎されている」と感じられる処遇に香音は本当に敏感である。実に楽しげに、たくさん、ゆっくり良い食事ができた。


客室は広くてきれいででっかい窓が有り、昼間はここも富士山がどーん!であった。
人魚効果があったから、きっと小さいことが気にならなくなっていただろう。きのうのホテル「人魚」は絶対の絶対、二度とごめんだけど、あの一夜の効果は今年一年は少なくとも持ちそうである。



しかも、このホテル、「人魚」より安かった・・・。
もはや「人魚」を予約してしまった内橋さんが、かわいそうでならなかった・・・。




とはいえ五月の女王様にすっかり満足して、我々三人は夜更かしをしつつ、満足な二泊目を終えた。。。。。