虫博士によると・・・  

■ホラー映画の掲示板がCMやめろの批判で大荒れ。
呪怨2」という映画のCMに、良き親風の人々と恐がりさんの怒りん坊が抗議しまくっているらしい。それもわざわざ、ホラー映画のブログにまで行って怒っているんだからある意味肝試し状態。でも匿名の陰に隠れた発言は肝試しってことじゃないけど。黒い画面でサラミシェルゲラーの汚い(怖い)顔の下に、長々と優等生風の親御さんのコメントがあるのはちょっとした冗談みたいでもある。
なんかこういう話を聞くたび、ああ、私はこういう「親」族の一員になってしまったのかと暗澹たる思いにかられてしまう。ま、なんの一員でもないんだけどね。


■ひな鳥を守る、親鳥気取り
「やめてください、子どもが怖がってるじゃないですか!」これって、例えば公園で遊んでる子どもの相手をしに来たお調子者に言うとか(こりゃちょっと今どきあり得ないが)、とにかく、子どもの領域に侵入してきた招かれざる事象に対してこそ、当然あって不思議のない親の防衛本能ね。でも、そこの家にあるからと言って、「ウチのテレビでこんなもの流してくれるな!」って、言えないよなあって、思うんだけど・・・。


■我が家のテレビ史 (笑)
うちは試験的に子どもからテレビを封印したら、予想以上に効果があったからそのままにしている。いちばんそれが定着するまで苦しかった時期は、子どもが見せろと騒いだ初期よりも、親がなんとなく持て余したり、勝手に情報が鳴ってる状態が恋しくなってしまったり(これって実はキモよ)といった、初期より次の段階の方が葛藤があった。テレビって実は親の勝手でつけていた、という恥ずかしい事実を痛感する経験だったわ。テレビを消すと、やけに室内が静かに感じたり、父親が忙しい一人っ子家庭なんて、夕方のリビングはかなり静かなものである。その静けさに持て余し感を感じる訳だけど、そこで実は母がどれだけ子どもに関わっているかが問われ。。。まあそれは良いとして。


■テレビを前に、悩む母
それでも子どもを寝させたあとにテレビに飛びつくようにスイッチオン!していたり(笑)、なかなかしみついたテレビ癖はとれなかった訳だけど、最近こんな私もポッと憑き物が落ちるようにテレビをつけなくなった。
たまたま、好みのコメディアンが出てこなかったからかもしれない。ただ、ちょっと久しぶりにつけた時、ふと身の危険を感じたのだ。殺される!と思った訳じゃないけど、ある日、今まで普通に観ていた普通に笑っていた
さんまの土曜の番組を観ていたら、笑えなくなってしまってた。その時は、久しぶりに観たさんまにちょっと老けたなあ、なんか今日はビンビンしてないなあ、と思っていたら、さんまはいつも通り30歳前の女の人を捕まえて“旬を過ぎた女”扱いをしはじめた。いつも通りなんだけど、なんかそれがもの凄くつまらなかった。30歳程度で女としての旬が過ぎたような判定ってもの凄く古いしつまらない。しかもそれを、その女より十歳あまり年上のさんまが、自分が最近めっきり老けはじめていることを棚に上げて偉そうに判定して、そうして彼女を否定することで自分はまだまだ現役であるということを強調してる、これがなんとも気持ち悪かった。ってトコに気づいてしまったら、なんかザザ〜って音とともに引き潮を感じてしまった。
別に30過ぎたらオバハンよ、と言われても「そうでっか」と思うだけで傷つかないけど、歳のことをネガティブに思い煩っていたら傷ついたろうなあ、と思う。もしくは、たとえば婦人科系の深刻な病気を抱えておののいていたら、どう思っていたろう。


■弱者を笑う
もうみんなは100も承知だろうけど、テレビの笑いは弱者を笑うことで成り立っている、と言われて久しい。最近それを痛感している。今までわかってたけど、痛感してなかったな。
最近、内橋さんはこの国では一生まともな住宅ローンが組めないことが発覚したが、それはこの国の住宅ローンというものがサラリーマン諸氏もしくは一部自営業者だけを対象にアレンジされているということだからだ。
それから今頃つくづくうんざりしていることに、自分は物心ついた頃からずーっとそして今もあらゆる場面で、「変わった人」扱いされてきた。時には常識からの例外、あなたは普通の人ではないという判定。それに最近ほんとにうんざりしていた。自分では、気も強いし弱者という意識はなかったけど、でも常識的多数を自負する人からは私は少数派であるわけで、気がついたらあらゆることでマイノリティなのだ。そうかぁ、と認める訳ですが、そうなるとテレビで弱者を笑ってると、笑えなくなる訳ですね・・・。回りくどくってバカみたいですが。


■決定。
ま、そんなこんなで、もしかしたら、ある日ある時とんでもないことでダメージを受けるかもしれない、と(アホみたいですが)本気で思って、それから観る気がなくなっちゃったなあ。JAROに本気で泣きつかないといけない日が、来ないとは限らない、という恐怖。ちょっと神経衰弱/自意識過剰っぽいですね。ま、偉そうな言い方させて頂くと(ま、日記ですから大目に)、テレビの中にはバカばっかり!失礼な輩が多すぎるから無礼なことされる前にスイッチオフ!ということか。うーん、というより、そう、「激しい怒り」という日常生活に支障をきたすものを回避するため、テレビを見なくなったということか。05年は怒らない、がモットーですから怒らなくってすむように。大袈裟な言葉を承知で言うと、自衛のためにテレビは見ない、見せないのだ。


■で、ホラー。
なんでウチのテレビ、私とテレビ、みたいなことを長々と書いたかと言うと、暴力的に唐突に流れるホラー映画のCMだけがテレビの汚点ではないということ。それ以前に、テレビってたいていろくなもんじゃないじゃない?子供版組だって、ひどいよ。最近はモー娘。が幼児番組でメンバー同士バカにし合ったり平気でしてるし、アニメだってもめ事、戦いの連続よ。ワイドショーもヴァラエティも、どんどん大人を幼児化させてるだけ、ニュースは偏ってるし映画は作品改竄して放映・・・。CMでは「去年の服ではバカにされる」とでも言いたいかのように購買をあおり、「これを持ってなければ時代遅れ」と脅迫ばっかり。テレビって、そういうもんだよね。ホラーはホラーだから、単純に怖いだけだけど、ホントに怖いのは恐怖の詰め合わせ的なホラー映画やその宣伝より、綺麗にラッピングされた洗脳な訳でしょ。そういうテレビの体質自体を改善したいならすればいいけど、行き着いたところで“理想的なテレビ”って何よ、「誰も傷つけない、毒も味もない鑑賞物」。だったら公園でも散歩してたらいいんだけどね。だからわたくしは今日も香音ちゃんとお散歩に行き、ビールを買い、平和に子どもが寝たらビールを飲みながらテレビをつける、かもしれない。んで、そのうち「呪怨2」のCM観てげええええって怒ってる間にテレビに飽きてスイッチ・オフして、DVDに切り替えて、どんなに素敵な映画も確実に途中で寝てしまう・・・、訳ですよ。



私よりも100倍簡潔に事象を斬り、問題のブログに飛べる虫博士の日記。
http://d.hatena.ne.jp/nishiogikucho/20050210

スマートにトラックバックする方法を、誰か教えてください。



追記/スマートにトラックバックしてました!へえ。

で、「ザ・呪怨」?、「THE JUON/呪怨」なんですね。失礼しました。
謝っておいてなんですが、カッコ悪いタイトルですね・・・ヒャーッ、ごめん!