短期滞在じゃないんだからと思うと財布の口が締まります。

今朝は約束も無いのでちょっとゆっくりして、10時をまわってから出掛ける。ぶらぶらと街の中心まで歩く。目指すはステファノプラッツ、ど真ん中。香音のスピードで歩いたから30分以上かかったけど、お嬢ちゃんも健脚になってきました。セルフサービスのイタリアンでブランチと洒落込み、内橋さんはスパゲティボロネーズ、私はサラダを山盛り盛りつけることに成功。会計を済ましてからそこはピザが売り物であることに気づいたが、まぁピザは次回のお楽しみにすることにして退散。買い物をするつもりが目指した店が潰れていることが発覚したり、目指す品がどこのDM(ここいらの大型チェーンドラッグストア)にもなくってハシゴを強いられたり、能率の悪いショッピングをだら〜んとして過ごす。
ステファノの広場で銀行に行った内橋さんを待っている間、我々のそばを東洋人が通りかかった。すると香音が、「にほんごしゃべるみたいなひとがとおったよ」と言った。へぇ、一応、風貌と言語がリンクしてるんだねえ。まだまだ自分が解らない言語=ぜんぶえいご と思い込んでいるフシもあるが、爆発的に語彙力が膨張している今だからこそ、どんな風にドイツ語を吸収していくかまことに楽しみ。しかしわたしも早く吸収したい。したくて仕方ない。

途中、通り抜けに入った公園で、菩提樹だろうか、小さな花弁が棒状に連なった房が無数に散落している。ウィーンは風が強いので、小春日和に咲き誇った花房がさっそく風に散らされたのだろうか。陽射しを楽しんでゆっくり歩いていると、後方で香音が立ち止まった。「まま! ケムシみつけた!」と言う。「さわらないでこっちにおいで」と呼んだけど、なかなか来ない。「まま、けむし! けむしみつけたから、あるけない!」と言う。なんと、そこかしこに散り落ちた花房をケムシと思い込んで、ビビって歩けなくなっているのだ。取りあえず「踏まないように来たらいいよ」と言い呼び寄せて、「のんちゃん、これはケムシじゃないよ」と、驚く香音にひとつつまんでゆっくりと、差し出してみた。もう、すっかり驚いて、私がつまみあげるのに目は釘付け。「けむしじゃなかったー」と笑う香音であったが、それでも「ほりゃッ」といたずらに突き出すと「ひゃっ!」と目をつぶる。そのあとはもう、延々「けむしとおもってあるけなかったー びっくりしたー!」とゲラゲラ笑って楽しんでいた。一部始終をベンチで微笑みながら眺めていた老婦人に、ことの次第をご説明申し上げたかったけれど、語学の冷たい壁が我々を遮断していた。むーん、早く学びたい。

いったん宿に帰ってから、私はシルヴィアと落ち会い、プリペイドの携帯を購入に。まっとうな携帯は在留許可書が無いと買えないらしい。その後、宿から5分とかからないシルヴィア宅へ伺い、携帯の起動に付き合ってもらう。シルヴィアはリッツのオーナー夫妻とルームシェアしていて、その住まいはとっても素敵! 2時間近くちょっとした話をして、一旦私は戻り夕餉の支度。シルヴィアもご招待した。昨日の収穫、ビヤレクの調理に挑戦だ。
必死にがんばった野菜スープとビヤレク&マッシュルームのパスタ。さあ出来上がり、というところでエリザベトとアダちゃんご帰宅。エリザベトとシルヴィアはずいぶん昔に知り合いだったらしく、勝手に招待したにもかかわらず食事はとても良いムードになる。アダちゃんはいつも通りのチャーミングさでいっそう夕餉に花を添える。香音も「おねーちゃん!」と首ったけだ。しかし可哀想なアダ、ビヤレクもマッシュルームもお嫌いだったそうで、私の料理はなんにも食べられなかった。自分でチーズトーストを作って楽しむけなげな8歳ちゃんでありました。
携帯番号を知らせつつエッケとヘルゲに電話。エッケは幼稚園訪問の段取りをつけてくれた。ヘルゲは明日、いっしょにwebにて住まい探しをすることに。