ぱすぽーとびざ(ピザではなく)

akiko さん、ヨハナさん、ありがとー!
週末にまたゆっくり日記書こうと思いつつ、おふたりのコメントに。

ビザって、自国に住んでるとほんと、無知になるよねえ。
こっちでもいまだに、「ビザなんか取らなくっても、観光の身分でいて、時どきスロヴェニアにでも出掛けていればええんちゃうのか?」なんて言うノンキな人もいます。そう、クオータートランペットの達人のあの彼ですが。

きのうも、ここんちの娘アダちゃんがお友達一家に連れられハンガリーに行くと言う。しかし出掛けようとしたところで本人はイタリア人の母のパスポートに付随されていることが発覚。確か日本でも乳児とかはお母さんのパスポートに便乗するってのを聞いたことがあるけど、イタリアでは8歳でもいっしょくたなのね。そう言えばドコゾかで会ったフランス娘のパスポートにもふたりの子どもが載っていた記憶。
結局お母さんが国境まで行ってパスポートを見せ、帰国時はまたボーダーにパスポートを持って迎えに行くんだって。連休の4日間、娘は外国でパスポート無しですよ。何かあったらどうなんねん。「車で二時間かからんとは言えわざわざ行かなくっちゃいけないのよん!」と、ママはうんざりしてたんだけど、しかしそれで済むなんてどうですか、どーですか、お客さん?!
そもそも、隣国とは言えこの問題に当日出掛けてから気づくと言う無頓着さにも驚き。
途中から引き返して来た友達一家と娘を待たせ、あちこち電話をかけて打開策を探るのを、まったく手伝いも助言もできない我々は黙して見守るのみなのですが、それでも「お友達一家に娘が連れてってもらってご旅行」することをあきらめる様子がないのにも、なんだか私はドキドキしてしまいました。


思い出すに、我が国では子どもを預けることにナーヴァスになってしまってかなり久しいのではないでしょうか。
どれくらい前でしょう、預かった隣の子が怪我したとか死んだとか、そんなこんなで預けるのも預かるのもなんだか気が重ーいことに成ってるんではないかな、昨今。もちろん、親戚同士とか下町とか田舎方面では若干違いはあろうが、傾向として。なんでも悪いことはアメリカのせいにするのは失礼ですが(苦笑)、アメリカ的なんじゃないかしら、akiko姐。

加えて、目の当たりにしたメンタリティの違いに、驚きを越えた爽快感を覚えています。
こちらは今週は木と土日がお休みなので、学校自体が金曜も休んで連休にしているところが多いそうなのですが、ここのエリザベツママは連休中グラーツのフェスティバルで演奏があり、最近ハンガリーにお家を買って週末しょっちゅう出掛けている友人一家がアダちゃんを連れてってくれる、というのだがこの一件、観察してるとめっちゃめちゃラッキーでエキサイト!って感じでもない。

彼等は親戚と言うワケでもないし、まあ仲良しではあるが特別な親密さ、というオーラもありません。
おそらく、日本でだったら、親戚でもなんでもない友人の子(子を通しての友人かもしれない)を預かって、自分たちのホリデイに連れて行くなんて、特別親密な関係を築いていなければなさそうです。わたしは耳にした覚えがありません。思うに、「何かあったら・・・」と言う責任問題の回避、これがまず大きいでしょう。危険回避のために小さくまとまっちゃう、はは〜ん、和風ですな。
それに、お父さんがまとめて休める様な休日がぐ〜んと少ないから、「子どもの友達も連れてっちゃおう」と言う発想に成りにくい。こっちでは、「子ども同士で遊ばせてたら大人は楽じゃん」って声が槍の様に降ってきそうなのですが、日本ではきっと、「自分の子でも手一杯なのに、他人の子まで面倒見切れません!」ってことに成るかな。もしくは我が子だけとゆっくりしたい・・・。む〜ん、ねっとりとしたラブが感じられますな。かなりねとついています。

パスポート問題が発覚する前、お迎えに来たドキドキわくわくニコニコさんたちはこれからレジャーに出掛ける一家とアダ。エリザベツは淡々としている、いつも通りに。特に我が子に言い聞かせたり言い含めたりする様子もなく、ましてや「ごめんね〜、お願いしますね〜、何かあったら電話してね〜、すみませ〜ん」などとリップサービスする様子もない。エリザベツは、郊外のフェスティバルに演奏に行くけど、決して最小限の滞在で切り上げて来る訳でもありません。子どもを預けることに負い目を持たなくていいココでは、こういう場面でぺこぺこ謝ったりしないのです。田舎者の私は、それをもまたドキドキしながら見守っていたのでありました。

子どもを預けて、もしくは人様の子を気楽に預かって、享楽的でしょうか。謙虚に謝って、迷惑をかけない様に心がけるのは美しい美徳でしょうか。人様に迷惑をかけず、謙虚に謝る姿勢のみならあら美しい、とも思えましょうけど、その影で他人の行動をとやかく批評し、他人の協力関係にまで口を挟んで「あいつは誰々に迷惑ばかりかける」とつばを飛ばす奥ゆかしい夫人を少なくなく目撃して来たアタクシは、享楽的と言われようと、楽しいことは大いに最大限楽しもうや、という気軽さとフットワークに惹かれてしまいます。そしてうちのおチビちゃんがいつの日か、誰それのヴァカンスに便乗する間に自分の首輪をはずす日を、夢想しているのであります、密かに・・・。
いひひひひ・・・・・。