廃墟のスクワットでイヴェントな休日。もう皆は夏休みのはじまり。

今週はパタパタと過ぎていった。
何してたかなって考えたら、ぱらぱらっとページをめくるように去来。

月曜日。
幼稚園7時半出勤がスタート。
夕方思わずお昼寝しちゃった。母が。

火曜日。
Yukaさんのご紹介で、日本学科の学生君と交換授業を最近している。週二回、日本語勉強の日とドイツ語勉強の日を約束。今日は夕方から日本語の日だが、正午にドイツ語学校を出ると学生君の姿が! どうやら本日留年(というのか?)が確定して、意気消沈しつつ、時間を持て余して会いに来たと言う。可愛いヤツ。香音をお迎えして三人でランニングスシへ。そう、回転寿司。私は欧州式回転寿司初体験でした。その内容たるや、駄目駄目。日頃からやや毒舌気味な学生君と日本語で悪態をつきつつ大笑いしながら食す。激励のつもりでおごっちゃいました。内橋さん、ごめん。ちなみにこちらのランニングスシは一定価格の食べ放題でした。帰宅して日本語学習。御留年の兆しは小耳に挟んでいたので、私としてはリタイアしないで継続するご決心それだけで嬉しい。

水曜日。
その学生君とドイツ語学習の日。エリザベツの口利きで、階上の大家族の次女(14歳)が香音と遊んでくれると言う。この大家族、子どもが総勢7人! 厳格なクリスチャンの両親のもと、お姉ちゃんたちはとても面倒見が良い。長女は18歳で、うちの同居娘アダの子守りによく来ていると言う。次女も子守りの腕は大したもので、だって6歳と4歳の妹たちをみてるからね。男の子たちは詳細を知らないけど、よくゴミや空き瓶を運んでいるのを見かけるので、きっとお手伝いとか頑張ってるんだと思う。ママはアメリカ人で、話したらとっても優しい人で感動した。
この日、次女は妹を引き連れ、香音を自宅に連れてっても良いかと言う。香音も喜んでそれに従い、たっぷり2時間階上で遊んでもらい、公園にも連れてってもらい、バナナとチョコのおやつも皆で頂き、幸福な時間を過ごして帰って来た。エリザベツから一時間3ユーロと聞いていたので計算し手渡そうとすると、「多すぎます!そんなにもらえません!」という。結局2時間あまりを3ユーロ。400円くらい? それでも恐縮して帰っていった。素晴らしい。
私はその間、学生君とたっぷり勉強ができた。香音に寂しい思いをさせるどころか、とっても充実した大家族体験をさせてあげられてるので、母としての罪悪感もゼロで集中できた。
今どき大家族の隣人がいて、一人っ子の我が子をその中に時々混ぜてもらえるなんて、素晴らしい。大感謝です。


木曜日。
としまる師匠がエコラウムで演奏の日。かねてよりビリーから聞いていたサラ・ワシントンもいらっしゃる日。ぜひぜひぜひぜひ観に行きたいので、先週から計画。紆余曲折の末、今夜はエリザベツがご在宅ということで、香音の就寝後ひとっ飛びで行かせて頂く。そのために早めにおやつ、早めに晩ご飯、その後(まだ明るいので)公園に連れてってひと遊び付き合い、寝て頂く。
エコラウムはギャラリーで、引越して来たときヘルゲがレセプションを仕込んでくれたところだ。ここの亭主、ヴェーナーは何と言うか、その、つまり、お茶の水博士のような勇姿。はげでぶめがね。この人、月曜日にエリザベツを尋ねて来、本日会い、そのあと土曜日も出先で顔合わせたものだから、「ココ数日かなり会ってるよなあ」と私の顔を見て笑う。「夫よりよく会います」と言って笑った。
ライブはあっという間に過ぎてしまった。これはつまりその、充実していたということか。時計を持っていないので、短すぎぬかと思ったほど。あまりにも素早く時が流れ、CDも買いそびれちゃった。としまる師匠の恋人がいらしており、お客にはアケミ嬢の顔もあり、シルヴィアの日本語もよみがえった様子で、日本語と英語とドイツがとびかう珍妙かつ快適なウィーンのナハトであった。師匠はベルリンとプラハを回ってまた凱旋なさる。来週の再会を約束して別れ、アケミ嬢と駅で別れ、無事寝静まった自宅へ帰宅。華英ちゃんウィーンで久々の夜遊びの図。


金曜日。
やはりもたなかった。本日は同居人エリザベツの「フェアウェルギグ」の日であったが(またもやエコラウムにて)、夕方昼寝をした私に続き、香音も7時過ぎから寝てしまい、せっかく子連れOKだったのに行けずに終わってしまった。同時に、ビリーちゃん&ディータ宅で催されるプチパーティにもお誘い頂いていたのに、それにももちろん行けず。残念・・・無念。とはいえ香音とゆっくり寝れたので、ま、こういう日もいいか。。。
ちなみに「フェアウェルギグ」は、子連れが多かった上、疲れて泣いたりグズる子続出だったらしく、寝てて正解だったわよ、と翌日疲れ切ったエリザベツに言われた。


そして昨日土曜。
シルヴィアらのお誘いを受け、ハンガリー国境沿いの廃墟で催されるイヴェントに急遽出動。ディータ、シルヴィアらとビリー運転のバンに乗せてもらい、1時間あまりドライブ。実は意気揚々と乗り込むものの、帰りの手だてがないままの決行である。結構な決行です。
香音は始終「ディータ、何してる?」「ディータ、ガム食べてるね」とディータの話ばっかりしてるので、ディータに「香音はぼくのオフィシャルリポーター」と任命を受ける。途中、三枚の羽が回転する巨大な風力発電の風車の群れを横切る。「いぜん、内橋さんに”あれはメルセデスベンツのコンテンポラリーアドバタイズメントだ”と言ったら“凄い!”と感動していた」と、夫婦のこぼれ話を披露。しばし爆笑。ビリーちゃん実家(@素晴らしい)でバンから軽自動車に乗り換える。
小ちゃい車はぼたぼたと走り、ハンガリー国境沿いではやる気のみなぎらぬオーストリア国境警備兵士を多数目撃。このあたりは80年代、「ピクニック計画」があったところ。平和集会やカルチュラルイヴェントを模して、人々が大挙してハンガリーからオーストリアへ流れ込んだ歴史的イヴェントだ。冷戦終結、東欧諸国の共産体制崩壊のきっかけとなった片田舎。観光に興味のない私であるが、NHKのドキュメントの印象深き情景が眼前にひろがると素早く感動。私は今、ヨーロッパに居る! と喜んでいるとぼたぼた走るかわいい車がひとつのみすぼらしい小ちゃいテントの前を通過。何あれ? 国境警備兵のテントよ 「ええ! 北朝鮮風だねッ」ディータが異常にウケていた。

会場は延々続くかと思われた畑の中にあった廃墟である。何人かのアーティストが安くで借りて、時々面白いベントを仕掛けている。本日は、オーストリアの著名な作家の没後ウン年とかで、彼の作品や作中人物にちなんだトリビュート作品やパフォーマンスが午後三時から深夜まで続々と披露される。ディータ、シルヴィア、ビリーはDVDで参加。会場では早くもブルクハルトがビールを片手に片隅を陣取り、何やら準備。見たことある人、ちょっと知ってる人、結構知ってる人などがそこかしこにおられ、気がついたらお知り合いも増えているなあと妙に関心。そこかしこに彼等彼女等の作品が無造作に展示されはじめる。ディータはどんどん色んな人のお手伝いをしている。ふと気づくと、人々が怠惰に過ごす初夏の週末土曜、ウィーンを離れたここではアーティスト(社会の怠け者たち)が大真面目に働いているではないか。可笑しいなあ。私の師匠(恋愛と人生を大いに謳歌する学派開祖)F・ホーツィンガーをはじめ続々と人々が集結。NYのケイコ姉さんも御来。ドイツ語まだまだな私は展示物、特にラップトップで展示されたもの、テキストものはぜ〜んぜんわかんなかったけど(冷汗)、雰囲気もいいし、天気もいいし、たいへん楽しめました。レンガ倉庫で小島くんらもこういうイヴェントやってるよなあ、CAPHOUSEもそうよねえ、と思いつつ、ガンジャが昼間から香り、ジャンキーが普通にごろごろしてること、そのジャンキーがまた出演したりすること、そして一見、スタッフが誰かわからんくらい誰もがリラックスしてることなんかに日本との違いを痛感。日本ではどうしても、主催者側に「間違いがあってはいけない」という言い知れぬ緊張感が常にあるもんね。FBIでの自覚を含めて。実際何かあったらいとも簡単にこてんぱんに叩かれるし。しかしこちらは、はじめから何かが大々的に間違った上で進行してる大胆さがあるのでした。

 そんな中、子連れ犬連れも多いので香音も飽きず、ビニールプールで水遊びもした。堪能。オマケにグラーシュやバーベキューなど、充実の屋台。感動。さぞ内橋さんに灼かれることでしょう。ということを前提にレポートしてみました。

引かれ過ぎて抜け落ちた後ろ髪を拾う間もなく、ウィーン行きの最終が9時過ぎだったので皆さんに別れを告げてブルクハルトに駅まで送ってもらう。ビリーたちは実家へ行くが、ご実家にゲスト有りなので私たちは着いて行けない。いっしょに来たシルヴィアは深夜帰る誰かを見つけてどうにかする、とアナーキーな計画であるが、さすがに子連れでそこまでする度胸がなく。帰りの手だてを持たずにココまで来た時点で、お母さん的には充分アナーキー期末試験通過って気がしますが。


そんな訳で、大胆な日帰りの遠出を満喫した翌日の今日は、雨音を聞きながら同居人と一日おうちでゆっくり過ごした日曜でした。
明日からまた皆さん、頑張りましょう。