幼稚園およばれ

先日こっちの幼稚園に来てはじめて「お誕生会」にお誘いを頂き、お邪魔させて頂いたご家族から夕食のお誘い。
ウィーン市外のもう小さな村みたいな町で、毎年恒例の「フェスティバル」があるらしい。この家族の友人がバンドを引き連れて出演すると言う。ディナーのあとは駅前広場のそのフェスティバルに散歩がてらい来ましょう、とのこと。
どこでも2、30分で行けるようなウィーン市内からは小一時間かかると言うだけでココは充分郊外、田舎である。
このご家族、パパはスペイン語の翻訳と高校教師をしてなさり、ママはフランス育ちのスペイン人。おうちではスペイン語がちだと言う。ママのエリザベスは私の通っているドイツ語学校にかつて通った経験がある、言わば「先輩」です。ドイツ語を外国語として学ぶことの難しさを知ってらっしゃるだけに親近感もわくもんですが、このご夫妻、私には終始ドイツ語である。パパのハンスなんて、英語も流暢に操るくせにそれでもドイツ語。もう、話せることも少ないし、ただでさえ硬くなっていた私であったがもう、病気かと言うほど静かにしてしまった。それでも、少しでもドイツ語習得の力になろうとして下さっていることを感じで,感謝感謝でありました。





しかし・・・。
連れて行ってもらったフェスティバル・・・。
さんざんなC級ロック炸裂でした。
なんでやろう、なんでなんやろう。
こんなロックがまだ重宝がられてるのか・・・。
しょぼいへぼいことやってんのに、みんななんかうっとりして唄ってるし、聴いてるし。
善良なご夫妻もご機嫌良く聴いてらっしゃるので、なかなか帰る兆しも無い。なんと悲しきことに香音も喜んで聴いている・・・。
11時くらいまであるらしいのだが、こんなのに付き合って深夜帰宅もしたくないし、10時過ぎたところでやっと帰宅希望を切り出す。ごねそうになる香音には「ママはこんなの聴いていたくないのよ。つまらないのよ」と切々と訴える。こういう時、他人の耳をはばからずに言えるのは好都合なんだけど(苦笑)。
ご夫妻はまた善良な笑顔で「どう? 音楽は楽しみましたか?」みたいなことを尋ねて下さるので、ドイツ語会話の練習のつもりで「はい。私も香音も楽しい時間でした」と答える。こんな善き人々に嘘をつくなんて・・・。しかしこころの中にすむ、音楽と表現と日々格闘する真摯な朋友の皆さんのお顔を思い浮かべ、ウッチーの顔を思い浮かべ、彼等にも嘘はつけまい、と罪悪感を飲下す。
帰りは二本乗り継ぐところを一本分車で送って頂き、ヒュッテルドルフ駅でお別れ。
「では次ぎの機会までね〜」と握手しつつ、次の機会は音楽鑑賞抜きでお会いしたいものだと、内心願う。切に祈る。
音楽の神さま、聞いてらしたらよろしくっス。