手作りの教科書

 やはり寝不足はいけない。楽しかったからとは言え昨夜、平日なのに夜更かしさせてしまい、やっぱりお寝坊。午後も帰りのバスからはすっかり疲れてしまい機嫌も悪くなる。がしかし、ホルトへ迎えにいった時までは、たいへん元気だった模様で先生たちからも特に何も言われない。
先週は風邪引いて休ませて猛省したものの、夜更かしも絶対ダメねと今日学び、いやぁひとひとり学校に行かすのって結構大変なんだなぁと感じる今日この頃。

朝送っていった時、クラスは至近の学校(香音がフォシューレのクラスに通った学校)の“トランポリンの部屋”に出かけようとしているところだった。いやぁ、遅かったら間に合わなかったところだ。冷や汗。あそこの学校には、ああいうのはなんというのだ、巨大な風船製の遊具、トランポリンとしてびょんびょん飛んで跳ねて遊べるヤツ、あれがある。そこへ小一時間運動しに行く模様。体育みたいな感覚なのかなと思うけど、それにしてもリラックスして楽しそう。

出かけるところへ間に合った香音、すぐさまクラスメイトに今からどこへ行く、何をするって、ジェスチャー混じりに教えてもらって大喜び。
こういう時、段取だ何だとピリピリバタバタしないのがこの先生たちの素敵なところなんだけど、これから独語学校もあるし皆も出かけるんだからと早々に引き返そうかとしていたら、先生たちが一冊のファイルを香音に見せている。

それはB5かA5くらいの、分厚いけど小振りなもので、綺麗なオレンジ色をしている。表紙にはKanonと名前が書かれていて、開くといきなり大判の香音の笑顔の写真。その下には先生の字でKanon。ページをめくると自然光のもとでとっても丁寧に撮られた同じく新入生のイアンの顔、名前。次も、次も、次も。クラスメイト全員が、ひとりずつ笑顔でおさめられている。定期的に撮影と美術の指導にいらしてる先生が撮られたんだろう、どの写真もとっても素敵だ。微笑して頬杖をついたり、可笑しそうに身をよじっていたりするひとりひとりがじっとカメラを見つめていて、どの写真も香音に“ハロウ、カノン!”と挨拶しているみたいだ。どの写真も、ご家族がご覧になればきっとお家に飾りたくなられるだろうと思える、そんなとっても丁寧に撮られたとっておきの写真ばかり。丁寧に最後には先生達もひとりずつニッコリ。
 「これはカノンのファイルです。いちばん最初に、クラスのみんなの顔と名前を覚えてもらうの。そこからスタートして、カノンの学ぶことが少しずつこのファイルに綴られていくんですよ。カノンだけのオリジナルです」。
本が好きで、お友達が好きな香音が、教科書のないクラスで、香音の為に組まれる個人計画に基づいて勉強をはじめる。
授業が終わったあと、ドリス先生とスージー先生が相談して、手作りしてくれた最初の「教材」である。感激。


今日はきちんと早寝して、明日からまた元気に登校させてあげたい。まずは私ゃ、宿題を…。