ポジティブガール

 香音のクラスの特徴の一つに、音楽の授業が数えられる。音大の先生が毎週二回、1〜2時間ずついらっしゃるのだ。楽器は希望者に教えてもらえるけど、基本はうた。2重唱3重唱を皆で練習して、クリスマスには病院へ慰問に行けるほどに磨き上げられるらしい。これは一定額の負担が必要なんだけど、ディスカウントの申請もできるようになっている。というようなことの説明をプリントで貰ったんだけど結構な難しさ。同時にウィーンが誇る(?)「カルチュラルカード」のお知らせも貰い、その資料もワケワカラン。毎週のお便りは辞書と格闘して、必要に応じ手紙で質問できるけど、これは「重要」「推薦」など書かれてることだし、思い切って先生に「お時間下さい」と頼む。
心優しきティーチャーは快諾して下さり午後、学校へ。

先にカルチュラルカード。これは大変興味深い。ウィーンが誇るコンサート、演劇、オペラetc.それらあらゆる文化事業や文化施設の優待カードである。これには対象者が有って、低〜中所得者層。中と言っても「低」寄りであるのはもちろん。これは「文化が富裕層だけに開かれてはいけない。富裕層に文化を独占させない」とのコンセプトをもとに、公機関が発行しているもので、リストにはたくさんの劇場やホールが名を連ねている。先生はざっと見て「全部無料になりますよ」と言っていたけど、その中には内橋さんやらも演奏するクラブ「Poggy&Bess」なんかも入ってるので、場合によっては割引程度じゃないかなとは思うんだけど、しかしまぁかなりのサービスを受けられる。学校で勧められているのは、校外授業で行く博物館や美術館などが勿論無料になるからで、しかもカード一枚で家族全員が利用できると言う。なんということでしょう。素晴らしい! 嗚呼、ウィーン!
そしてもう一つの用件、音楽学校に提出書類の説明も受けるが、これは所得申告をしたらどれだけ支払うか指示が出る。おそらく無料かごくわずかな額になるとのこと。
必要書類を提出するだけでいいらしい。


といった事務的な話を冗談交えつつ担任のお二人と小一時間。最後の方は珈琲を飲みながら延々冗談を言っていた。先生たちはこの私に負けず劣らず冗談が好きだ。学校の先生と話してるとは到底思えない。いいんだろうか(冷汗)。
日々の香音の様子も、ほんとうに楽しそうに話して下さる。香音の口ぶりを真似ながら、いかに面白かったか、可笑しかったか教えて下さる。そしてつくづく、香音って子はほんとにポジティブですよねぇ、と関心して口を揃える。それは私も常々感じていたので共感。あの子は根本的に幸せなんですよねぇ、だからこそ、あんなに迷いなくポジティブに生きているんですと納得したように言われた。ほんとに。