家族遠足というのがありました。

 香音が午後に行ってる学校(ホルト)の自由参加行事、家族遠足がありました。下部オーストリアまで車に分乗して、小さい山を登ります。午後1時にホルトの前に集合。シスター数人も参加されるが、何とあの白い法衣、頭につけたベールもそのままで運転、そして山登りも挑まれる。これはなかなか見られぬ光景、とニヤニヤしながら後続しましたよ。ちなみに山から下りたらホイリゲに行くということで、新もののワインやシュトゥルムを飲むいわば地酒屋に修道女と行くという貴重な体験。残念ながらみなさん、ワイン農家自家製のジュースを喜んで飲まれていましたが。

山です。標高も名前も尋ねずに帰ってきてしまいましたが、Tullnという町の“ワイン葡萄山通り”という名前の道が近くにあったのでたぶんそんな名前なのではないかと思います。
香音と一緒でのぼりに2時間弱はかかったと思うので、慣れた大人は1時間ちょっとで登れるような山かもしれませんが、運動靴で来て良かったとホッとするような山道もあり、日頃鍛えてなさそうな人は時折立ち止まって息を整えています。ホルトには幼稚園もあるし、小さい子も来るだろうから大した山には登らんだろう、おお、身障者のスタッフも来てるじゃないか、じゃあ標高は知れてるんだろうな…と安心したのは小さな間違いであった。
だいたいで言うと、去年エッケ主催で11月に遠足した時の山と大体同じような感じだと思うんだけど、あの時は途中で疲れてぐずったりパパやエッケに運んでもらっていた時もあったほどの香音が、今回は一度もぐずらずに最後まで登りました! 途中の休憩だって、立ち止まってグミを食べたりお茶を飲む程度。後ろから数人目というペースだけど、最後尾じゃなかったのも凄いことだと思う。頂上には売店とスタンプのサービスがあり、待ち受けていたシスターや世話役の人々に「自分で全部登ったのね!凄いわね!」と褒めて頂いておりました。
頂上で持参したおにぎりを食べ、ちょっと休憩してすぐ下山。手を繋いで降りると滑って怖いようなところも頑張って、山道から村へ降りた頃には近くに居た子ども達と走り出したりして、とっても楽しそうに歩きました。ふだん可愛がってくれてる子達や学校のお友達は来てなかったので残念だったけど、それでも香音はとっても楽しんでキャッキャと喜んでいました。

遠足のあとはちょっと移動してホイリゲへ。ご高齢の樹木希林シスターなど何人かはここから参加。希林先生を見つけた香音は「わぁ!シュヴェスター・ブランカ!」と駆け寄っていました。ホイリゲはたいてい庭に遊具があったりして、子ども達も遊べるようになっています。みんなとブドウジュースを頂き、郷土料理を食べたら香音も庭へ出てゆきました。中に居ると酒が飲みたくなって仕方ないけど、ほとんどの人はノンアルコールだったので(涙)、わたしも庭へ。子ども達の中には、一見でアフリカの内戦地域から養子としてやってきたと思われる、身体に大きな傷を負った子どもや、中央アジア系、東アジア系などの子どももおり、親と来ていないところを見るとおそらくホルトの母体であるカソリック教会関連施設で生活しているのかな、そういった子もみんなと仲良くしていて気持ちがよかった。シーソーに大勢で乗って重さ比べ対戦なんかをしてたんだけど、香音は一方の安全そうなところに座らせてもらって、すぐそばに大きい子やしっかりした子が座ってずっと笑い合って遊んでいました。座位がずれて危ない瞬間も素早く気づいて援助してくれるので、随分長いこと怖がったり嫌がったりせずに遊べました。

帰りもシスターの運転するバンに乗せてもらって小一時間のドライブだったけど、車中も残ったおにぎりを食べたりバナナを食べたり、終始機嫌良くしていた香音。気疲れすると機嫌が悪くなるのに、この日は一度もそんな素振りさえ見せず、夜の八時に帰ってくるまでずっと楽しく、過ごせました。

さて、翌日曜も月曜も、わたしは最低限のことしかできないくらい、疲れてヘトヘト。しかし香音は何喰わぬ顔でいつも通り。凄い。ほんとうに丈夫になりました。