久しぶりのライブ

アマンスタジオという、個人経営の小さなスタジオがあって、ライブレコーディンができる。ライブレコーディングを無料でさせてもらう代わりに、観客の木戸銭がスタジオ収入になるという仕組み。木戸銭は6ユーロ。前売りは4ユーロだから気楽である。

そこの主、アマンさんはポギー&ベスにサウンドエンジニアとして出張することもあり、内橋さんとは知り合いで、今日はソロをやってくれと誘われた次第。決定がほんの数日前だったので集客が心配されたが、前後にもプログラムがあり集客はなかなかのものだった。
ひとつめはTpのフランツ・ホーツィンガーがピアノ、ヴァイオリンとトリオ。
内橋さんのソロを挟んでブルグハルト・シュタングルとカイ・ファガシンスキのデュオ。

ライブするのかどうか、直前までよくわからなかったのでベビーシッターの手配をしていなかったのだが、サウンドチェックに香音とついて行ったら、久しぶりのアマンスタジオだし色んな人にも会えるし、たまには夫の演奏を聴いた方が良いと思ったので(苦笑)、帰宅して急いで電話しまくる。が、結局4人の学生諸君がアウトだったのであきらめかけたが、もうひとりふと、子ども好きなあの彼!と思い出してyukaさんに番号を伺い打診。獲得! 気持ちよく駆けつけてくれた彼に、寝る用意をした香音をお願いして夫婦でお出かけである。というにはまったく色気のないものであったが。


しかしウィーンの街は小さく、サウンドチェックして一旦うちへ帰って晩ご飯食べて、手ぶらで会場入りできるって感覚として不思議である。会場たるスタジオは、ウィーン的にはうちから近所では決してないのに。
電車とバスを乗り継いで、それでも所要時間20分ほどで到着。
会場では出演者はもちろん旧知の誰彼いろいろ会えたので、邪魔臭がらずに来て良かった。久しぶりに聴いた内橋さんはもとより、久しぶりに聴いたブルグハルトとカイの演奏が凄く良かったのも来た甲斐があった。ちょっと洗練され過ぎて出来過ぎ感があって、それはこの手の音楽にいつも感じるものだけどでも成功してはいると思った。

日語独語の交換授業、タンデムレッスンをしてる好青年アンディが駆けつけた。出先から直行できたのだが、内橋さんのソロに間に合わなかった。せっかくなので3つ目だけ観ると言って入ったが、彼には皆目わからなかったらしい。しかも“理解できない”とは言わない。自分ではそう思っていない。いろいろ言うんだけど、どうもまったく理解できていないようだと私が感じたのだ。聴いてわからないものを言葉で説明してわからせるなどしたくないし、言ってもわからないので放っておいたけど、好青年なのに誠に残念なことだった。彼はなんというか、ただただ上手なアコギのインストものが大好きで自分でもやるのだが、お気に入りのギタリストのCDを聴かされて私が良い反応をしなかったので落胆されたことがあったので、これからは音楽の話をしないように気をつけようと思った。っていうか、書籍の話もイルカの話も物別れになったことがある。(書籍:ハワイの“気”かなんかの本を勧められて断ったこことがある。イルカ:鯨食やイルカ保護について意見が物別れになったことがある)
性格は優しくってとっても良いのだが、どうしても趣味が合わない。知り合えば知り合うほど話題が減って行く(笑)。


そんな困った相棒(外国語学習のね)を送り出し、しばし人々とおしゃべりし、疲れた相棒(家族の方)と深夜帰宅。シッター君はニコニコ待ってくれていた。気持ちのいい人である。
香音は本を読んでもらい、9時半頃には機嫌良くベッドに入ったらしい。「さびしくない?」と訊いたら、「すぐかえってくるからさびしくないよ」と言ったらしい。今のところ、“すぐと言ったのにすぐじゃなかった”と思わせたことがなかったかな? だとしたら幸いである。しかし、留守番して寝る直前の子どもに「さびしくない?」の質問は御法度ではないだろうか? もしも“そう言われたら寂しい気がしてきた…”的な展開になったらどうするのだ。