ロケット発射!

またもや長らくご無沙汰してしまっている。申し訳ない。と言う訳で、写真をたっぷり提出してお詫びにかえさせて頂きましょう。
ロケット発射。
というのは、夏休み最後の土曜日に行ってきた、ハンガリーに近いクライレホフという小ちゃい街で行われたREHEATフェスティバルのイチ出し物。
(ちょっと古い話でスミマセン!)

リヒートはクラウス・フィリップやディータたち、ウィーンのミュージシャン10名近くが仕掛ける、インスタレーションとライブの小さなフェス。
原っぱ広がる田舎の廃工場で繰り広げられるので、お客さんの多くはキャンプ方々遊びに来る。ほんとなら私たちも、友達とキャンプしようかと言ってたんだけど、テントと寝袋と車を出すと言ってた友達に予定が入ってしまい、急きょ香音とふたりで行ってきた。

二年前もここでフェスがあって、その時もビリーやディータ、シルヴィアと遊びに来たけど、今回はみんな前乗り、数日前から準備に行ってるので、我々は電車の旅。とはいえウィーン発田舎行きの電車の中はテントやキャンプ用品でリュックが一杯になってる人多く、そしてすぐに顔見知りや知人も見つけられ、片道はあっという間におしゃべりして到着。
駅まではフェス調達のミニバスと迎えに来てくれたビリーの実家カーがお出迎えで、二年ぶりの会場へスムーズに移動。
二年前はそう言えば、ドイツ語がまだまだ使い物にならない挨拶程度、したがってごく親しい数人としか話さなかったし友人たちはみんな忙しそうだったし、かなり静かにぼーっとしてたなぁ…と回顧。
今回はまぁ、挨拶+軽い世間話はできるようになってきたので、前回とは暇っぽさが激減した。有り難いことだ。
それは私だけでもなく、香音!
前回彼女は観客の前で堂々と「ぶとう」を踊りだして大人たちをぽかーんとさせてしまったのだが、そのほかは小ちゃい子が遊んでるプールにちょっと混ぜてもらう程度で、私同様結構暇にしていたと思う。しかし今年。わたしが荷物置き場に何か取りに行ってる間に、トイレに行ってる間に、飲み物買いに行ってる間に、ほんとのちょっとの隙でいなくなるいなくなる。
ハンガリーまで続くかのような草むらにまぎれ込みでもしたら、捜索に人の手を煩わすことになりかねないし、怪我でもしたらフェスにどんな迷惑をかけるかもしれないから、毎回冷や汗もので探しまわったんだけど、香音はお得意の(疑)ドイツ語で子連れさんチームにまんまと接近し、靴を脱いでピクニックシートやテントにまぎれ込んだり、果てにはバーベキューしてる家族の一員になっていたり、ほんとうにエンジョイご厄介になっていた。

しかしながら、そんな不思議なメガネのアジアンガールに親切なのはもともと心優しい人しかあり得ないのか、そんな人やグループを選んで接近しているのか、香音が仲良くなる人たちはみんな、まぁヒッピーっぽさもあるものの、どなたもとっても感じが良い。分けてくれてるおやつやスナックもとっても美味しそうだった。


で、フェスティバル自体は、建物のあちこちで断続的にプログラムが有りつつ、据え置きインスタレーションもたくさんあり、なかなか退屈しない。夕方には地元のガストハウスからケイタリングサービスが来て、屋台が立つ。料金はしっかり取られるものの、パエリアやカレー、ベジタリアンフードも充実してしかもボリュームもあるのでなかなかの人気、そして満足度。がしかし、その人気故か売り切れ続出。ビリーに真剣に、来年はうどん屋か味噌汁屋をやってくれと御指名を受けた。どうしよう。天然自笑軒かディスコビーンズに相談しようか…。

そんな中、かなりのクライマックスとして盛り上がったのが本日の表題、“ロケット発射”である。

メイン会場たる建物の反対側、がらんとした空き地にそれは佇む。


主にふたりのアーティストが仕掛けているらしく、前日のテストでは準備に参加してたスタッフ一同で随分盛り上がったらしい。
そのためディータのアナウンスも熱が入る。果たしてロケット打ち上げとニュウミュージックフェスの関連性/必然性については、明言されているの か も しれないが、到底わたしが把握できる範疇を越えている。とはいえもはや、理屈は二の次三の次、今は良い。黄昏時の打ち上げ時、人々の注目は頂点に達した。メイン会場から長々とホースで水を引き、おそらく内部に充分な圧をかけるのを固唾をのんで見守る観衆。

ようやくアーティスト2人から合図が出る。
カウントダウン。マイクを使ったディータ、アーティスト側、そして子どもたちのカウントダウンは三者バラバラ(笑)。
間が抜けて笑いながらも発射!

 ぶっっぢゅ〜〜〜!!!!!!!

 どっかーーーーーーんんん!!!!!



歓喜する観衆。5秒あまりの出来事なれど、ぶぢゅーっという音とともに一旦浮かび上がったロケットは、人々の心をひとつにしてくれたのでありました。


ちゃっかり、人様がご用意された特等席にて観賞できた香音。おとなりは、この日一番仲良しになったザビーネちゃんとその父ちゃん。

その後、無事、発射と落下を果たしたロケットは、リサイクル可能なパーツを残してキャンプファイヤーの燃料となりました。


どんどんプログラムは続きつつ夜は更けて、メインプログラムはすべて終了し、あとは未明までDJタイム!というところで、主催者側がウィーン市内へ帰る参加者の車の乗り合わせを手配。泊まれるスペースはあったし香音用の寝袋は借りてきていたし、香音もその気満々、友達たちも皆残る…っていう状況だったけど、今日は十分楽しんだから帰ることにして、3区を通れるお客さんの車に同乗させて頂く。車の持ち主さんはカップルで、我々のことを「おうちの前まで送ってあげてくださいね」とアレンジ係がちゃんと話をつけてくれる。ドライバーさんは人の良さそうな人でもちろん快諾。さらにおっちゃんもう一人、請け負っていた。
車に乗り、簡単に挨拶して世間話をしはじめた頃、もう香音は同乗のおっちゃんの肩におでこを預けて眠りはじめる。おっちゃんはおしゃべりな人だったけど、香音が寝たのに気づいたら静かになってくれて、ほどなくしてご就寝。ドライバーとその彼女がふたりで話込みはじめたので、私はぼんやり車窓を眺めつつ、そのうちうとうとしてきて、ふと気がついたらもう、おうちの前に着いていた。

快適に帰宅できて、大感謝の握手で別れておうちに。
会場の建物の一角で雑魚寝的な仮眠室を使うとか、ましてやテント泊なんかしてたらかなり寒かっただろうし(そういう場合の対策には私はまだまだ素人)、今回は帰って来て大正解。夜更けまで居れて、快適に帰ってこられたなんて、大満足である。

良い思い出になりました!